10月 「言葉の力」
御影神愛キリスト教会 牧師 瀬古慎二
一般的にもよく言われることですが、言葉には大きな力があります。言葉によって人を生かすこともできれば、殺すことさえできてしまう。言葉には、そんな大きな力があることをよく考えます。
最近、言葉の力というものをつくづく感じさせられたお話を聞きました。北九州市で30年以上小学校の教師を務められた先生で菊池省三という方がおられます。この先生は長年に渡り学級崩壊したクラスを立て直す働きをされておられる方です。菊池先生は、どのようにしてクラスを立て直されたのでしょうか。それこそ、「言葉の力」によってでした。先生は、新学期が始まる時に子ども達に二つのことを聞くそうです。一つは、「クラスからなくしたい言葉は何ですか。」です。この事を聞くと子ども達から「死ね」「ばか」「消えろ」「キモイ」「ぶた」などの言葉が上げられました。そして次に「クラスに溢れさせたい言葉な何ですか。」と聞くと「ありがとう」「がんばったね」「成長したね」という言葉が上げられたそうです。そして、それらの言葉を教室に張り出して、なくしたい言葉はどんどん無くし、溢れさせたい言葉どんどん使うようにしていったそうです。
また、他にも「ほめ言葉のシャワー」と言って、毎日一人の日直を立て、クラスの皆にはその子の良いところを観察させるのです。そして一日の終わりに日直の子に向かってクラス全員、一人ずつその子の良いところを言っていくのです。そういう取り組みをする中で、子ども達一人一人が自分の良さに気づきはじめ、クラスの中で自分も認められていて大切な存在だという事が分かるようになって来たのです。そして、クラス全体の雰囲気もどんどん良くなってクラスが立て直されていくのだそうです。
このようなお話を聞いて、つくづく言葉の持つ力というのが絶大であるか、という事を改めて考えさせられました。私たちも日頃、どんな言葉を語っているか、あるいは、聞いているかによって人や自分を生かしも殺しもしてしまうという事を真剣に考える必要があると思います。イエス・キリストは、「人はパンだけで生きるものではなく、神の口から出る一つ一つの言で生きるものである」と言われました。神の言葉には、私たちを生かす力があります。私たちが、心を静めて神の言葉、すなわち聖書の言葉に耳を傾けていく時、心を留めていく時、私たちの心は強められ、励まされ、生かされていくのです。
ぜひ、一度、聖書を手に取って神があなたに向かって語られている言葉に耳を傾けて頂けないでしょうか。神の言葉があなたを生かしてくださるよう祝福をお祈りいたします。