Mikage Shinai Christ Church

2019年3月”神様が味方”

御影神愛キリスト教会 名誉牧師 杉本俊輔

 人生の歩みは、誰でも楽しく平安でありたいですね。しかし、時には思っても見ない出来事に直面して立ちすくんでしまう事があります。健康のこと、経済のこと、人間関係のこと、家族関係のこと等々。無理解、差別、不条理な仕打ちに会って苛立ちを覚えることがあります。しかし神様に相談(お祈り)するならば必ず良き解決の道が開けます。ペテロと言うキリスト様のお弟子さんが、困難に直面している信仰の若い方々に、「思い煩いや心配事をすべて、神様にお任せしなさい。神様のほうで万事を良きようにして下さるからです」愛の神様は、完全で、不変です。と教えています。幸せな生活を送るために神様といつも一緒に生活したいですね。
 

 さて、聖書の中に、真の神様を信じる一人の人が描かれています。彼は、不条理な仕打ちに会い、憎まれ、半殺しにされ、最後は奴隷に売られてしまったのです。彼は、男兄弟12人の中で11番目の子でした。父親に溺愛されていたようです。その上容姿は良く頭脳明晰で非の打ち所がなかったのです。だから兄弟からは嫉妬されていたのですね。彼は、日ごろから兄弟に憎まれていました。ある日父からの指示で野で羊を飼っている兄たちを訪ねました。近づいて来る弟を見つけた兄達は、彼を殺そうと言いだしましたが長兄が彼を殺す事には反対したため、命だけは助かりましたが、丁度そこを通りかかったイシマエル人に銀20枚で奴隷として売られてしまったのです。彼はエジプトに連れていかれ、そこでエジプトの王パロの侍従長ポテパルという者に買い取られました。何不自由のない生活を送っていた彼は、一夜にして兄達の憎しみで、父から切り裂かれ奴隷にされてしまったのです。

 

なんと悲しい事でしょう。しかし、彼は一言も不平を言わず、どんな状況の中でも神様が共に居て守ってくれると信じたのです。(創世記39章)さて、彼を奴隷として買い取ったエジプト王の侍従長ポテパルの家は、不思議なことにこの奴隷の若者が来てから祝福され万事が上手くいくようになったのです。そこで、侍従長は喜んで彼に家の全財産の管理を任せたのです。ところが、侍従長の妻は淫らな女で、有能で美男子の若い奴隷に、毎日執拗に言い寄るのでした。(39:10)しかし、彼は断り続けて誘惑に負けませんでした。その結果、侍従長の妻の虚言によって、何の罪もない彼は牢屋に入れられてしまったのです。何と理不尽なことをされたのでしょう。しかし、彼は、獄中にあっても不平不満を言わず、神様の助けの時を待ったのです。

 

歴史は流れ、ある時、エジプトの王パロが夢を見ました。(41章)夢は、ナイル川に美しい肥え太った七頭の雌牛が上がってきて葦を食べていました。その後、醜い、やせ細った七頭の雌牛が川から上がってきて、美しい肥えた七頭の牛を食いつくしてしまったのです。パロ王は、ここで目を覚ましました。

 

再びパロ王は夢をみました。一本の茎に太った良い七つの穂が出てきました。その後でまた、痩せて、東風に焼けた七つの穂が出てきて、太った七つの穂を飲みつくしました。ここで、パロ王は目を覚ましました。パロ王は心が騒ぎ、夢の解き明かしを求めましたが、国中の知者も占い師も解くことが出来ませんでした。この時、かつて一緒に牢屋に入っていた役人が、無実の罪で捕われている奴隷の男を思い出し、彼ならば王の夢を解き明かせるだろうとパロ王に奏上したのです。彼は、王の前に立たされました。

 

王は彼に言った「お前は夢を解き明かせるそうだな」彼は、「いいえわたしではありません。生ける真の神様がパロ王にお告げになるのです。」と、申し上げました。王様「夢の意味は一つです。七頭の良い雌牛は七年です。七つの良い穂も七年です。更に、痩せた七頭の雌牛も七年です。東風に焼けた七つの穂も七年の飢饉です。エジプトに七年の大豊作があり、その後七年の大飢饉が起こるでしょう。だから飢饉に備えて下さい。」パロ王は、これを聞いて感動して、家来たちに言ったのです。「われわれは神の霊をもつこのような人を、他に見出し得ようか」そして、彼に言った、「神がこれをみなあなたに示された。あなたのように聡く賢い者はない。」(41:39)そして、彼を、王に次ぐ内閣総理大臣にしたのです。奴隷で囚人だった彼は、この時、30歳になっていました。(41:46) 

 

何という事でしょうか?事実、彼の預言のとおり世界中に大飢饉が起こりました。噂は世界を駆け巡り、エジプトには食糧が豊かにあると伝わると人々は大挙して買い出しに訪れました。ある時、北の国から十人の男たちが穀物の買い出しに来ました。この十人の男たちは、エジプトの総理大臣の前に平伏して穀物を乞うたのでした。彼等は、目の前に居る大臣が、十三年前に、自分達が半殺しにして奴隷として売り飛ばした実の弟だとは誰も気付いていませんでした。

 

しかし、彼はすぐに気付いていたのです。ついに彼は、自分を制しきれなくなり、告白をしました。「お兄さん達、私はあなた方の弟ヨセフです。あなた方がエジプトに奴隷として売った者です。しかし私をここに売った事を嘆くことも、悔やむこともいりません。神様が私達一族を救うために、先にわたしをエジプトに遣わしたのです。」45:4 ヨセフは兄弟の憎しみ・暴虐に対して愛と許しをもって報いたのです。「神様が自分の味方になって守ってくれていたからです。」愛と許しは全てを幸せにします。
 この記録は聖書の創世記37章~50章にあります。